PARC TOP調査・研究コンゴ民主共和国:レンジャーの死

コンゴ民主共和国:
レンジャーの死が新型コロナと関係するのか
考えてほしい

2020年4月24日にコンゴ民主共和国のヴィルンガ国立公園で、ルワンダ解放民主軍(FDLR)の一派と見られる武装勢力による襲撃によってレンジャー13名および公園職員1名、民間人4名の命が奪われる、という事件が起こりました。国立公園のレンジャーたちは、絶滅の危機にあるマウンテンゴリラなどを含む野生生物とその生息地を保護することを仕事としています。

コンゴ民主共和国では、1996年から始まった紛争は公式には2003年に終結したとされていますが、その後も一部地域で複数の武装勢力が活動を続けています。紛争に由来する暴力や、密売目的の密猟・伐採、飢餓を訴える周辺住民による狩猟採集などに伴う森林伐採によって、豊かな生物多様性が危機に瀕しており、4つの国立公園と1つの野生生物保護区がユネスコの「危機にさらされている世界遺産」に登録されています。武装勢力や困窮した住民との対立の中でレンジャーたちは命の危険と隣り合わせで国立公園のパトロールを行っています。これまでにも多くのレンジャーの命が襲撃者によって奪われており、2014年にはヴィルンガ国立公園の所長が銃撃される事件も起こりました。今回の襲撃は、霊長類への新型コロナウイルス感染症の影響を懸念して観光ツアーと公園への立ち入りを差し止めていた最中の出来事でした。

4月29日現在、今回の襲撃についてFDLRやその他関連する可能性のある組織から公式に声明は出ていなく、襲撃の詳しい理由は明らかになっていません。しかし、新型コロナのグローバルな広がりとヨーロッパをはじめとする先進諸国のロックダウンが現地に及ぼす影響をこの機に考えてほしいと思います。

PARCでは『スマホの真実―紛争鉱物と環境破壊とのつながり』(2016年)で、コンゴ民主共和国における紛争の長期化と日本など先進国に輸出される鉱物資源とのつながりを取材し、カフジ=ビエガ国立公園のレンジャーにインタビューを行っています。作品では、スマートフォンなど小型電子機器の製造に用いられる鉱物資源の取引が、紛争の長期化と環境破壊をもたらしてきた実態を現地の人々の声とともに伝えています。

そこで明らかになったのは先進国の経済活動によって、経済的弱者であるコンゴ民主共和国の人々が翻弄されてきた姿です。その構図は新型コロナの影響下でも変わらず、今回の襲撃事件もその影響が火種のひとつになっているかもしれません。


※無料公開を終了しました※

PARCでは、新型コロナウイルス感染症をめぐって休校や施設休館が続いている事態への対応として、4月15日より2週間限定で『スマホの真実―紛争鉱物と環境破壊とのつながり』を無料公開しておりましたが、今回の事件を受けて、作品の公開期間を2週間延長し、5月13日(水)まで無料で視聴可能とします。

作品を通して、命がけで野生生物を守るレンジャーの言葉に耳を傾けてもらうことで、彼らの直面している過酷な現実を学ぶとともに、現代においても「南」は「北」の経済に翻弄されていることを見つめなおすきっかけとなることを願っております。
(2020年4月29日)

・事件についてのヴィルンガ国立公園からの公式声明(英語)
https://virunga.org/news/updated-statement-from-virunga-national-park-on-recent-attack

・英紙ガーディアンの速報(英語)
https://www.theguardian.com/world/2020/apr/24/twelve-rangers-among-16-killed-in-ambush-at-drc-gorilla-park

・米紙ニューヨーク・タイムズの速報(英語)
https://www.nytimes.com/2020/04/25/world/africa/congo-virunga-national-park-attack.html

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